天河と七星
「現場は狭いか?車椅子では無理か?」
新部長の第一声。その声。
淡々と業務的な物言いなのに、遠い記憶と変わらない声に心が張り裂けそうな痛みを覚え、何も言えなくなってしまった。
「中條さん」
驚いたまま黙ってしまった私の肩を山口部長がポンと叩く。そこでハッと我に返った。
「通路は広いので大丈夫です。細かい作業をご覧になりたいなら大変かもしれませんが」
「そうか。今日はざっと見るだけなので車椅子のままで失礼する」
彼は笑顔も浮かべずじっとこちらを見ている。
「中條さん、車椅子を押して」
山口部長に言われてしかたなく彼の車椅子に触れた。
再び彼の車椅子を押す日が来るなんて、思いもしなかった。
彼はCOOGAの創業者一族で、CTO(最高技術責任者)の息子だ。COOGAの仕事に就く事自体は不思議ではない。
でも、彼の専門分野である宇宙工学とも関わりが少ない、COOGAの中でも末端のこんな部署にくるなんて、どうしてだろう。
新部長の第一声。その声。
淡々と業務的な物言いなのに、遠い記憶と変わらない声に心が張り裂けそうな痛みを覚え、何も言えなくなってしまった。
「中條さん」
驚いたまま黙ってしまった私の肩を山口部長がポンと叩く。そこでハッと我に返った。
「通路は広いので大丈夫です。細かい作業をご覧になりたいなら大変かもしれませんが」
「そうか。今日はざっと見るだけなので車椅子のままで失礼する」
彼は笑顔も浮かべずじっとこちらを見ている。
「中條さん、車椅子を押して」
山口部長に言われてしかたなく彼の車椅子に触れた。
再び彼の車椅子を押す日が来るなんて、思いもしなかった。
彼はCOOGAの創業者一族で、CTO(最高技術責任者)の息子だ。COOGAの仕事に就く事自体は不思議ではない。
でも、彼の専門分野である宇宙工学とも関わりが少ない、COOGAの中でも末端のこんな部署にくるなんて、どうしてだろう。