天河と七星


結局今夜も一人、残業だ。昼間に体力を使い果たしてしまってヘトヘト。作業効率が悪くなってしまい、全然終わらない。
いつもなら六月はそれほど忙しくない時期なんだけどなぁ。
私はエナジードリンクを一気に飲み干して頬をたたく。もうひとふんばり。

しばらく作業をしていると、突然ドアが開く音がした。

「誰かと思えば。まだいたのか?」

天河がゆっくりと歩いてやってくる。足取りはそれほど危うくはない。

「部長こそ、こんな時間にどうされたんですか」
「明日の新プロジェクトの決起会の準備。帰ろうとしたら明かりが見えたから。もう帰りなさい」
「今日の分の業務が終わっていません」
「どれ、見せて」

天河が私のパソコンを覗き込む。

「大丈夫。後は僕がやっておく」
「部長もお疲れですよね。あと一時間もあれば終わりますから」
「たぶん五分で終わる。どいて」

え……?五分?
私でも一時間で終わるかどうかという量なのに??
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