天河と七星
あぁ、そうだ。
この人は天才だった。
たったの二ヶ月で私のスキルを機械に教えてしまった。
楽になる?とんでもない、これは私という労働力が要らなくなるようなシステムだ。

私はあっさりと仕事を終えたパソコンを前に呆然としてしまった。

「この二ヶ月。キミの仕事ぶりを見てきた。
最初は欠員補充で暫定的にここに配属になったが、その後も残りたいと希望したそうだね。
これが、僕を捨ててまでキミが手に入れたかった安定した生活ってやつなのか」

呆れたと言わんばかりの口ぶり。
彼のような天才から見れば私のやってきた仕事なんてつまらないものなのだろう。新しいシステムを構築するなんて、常人にはそうやすやすとは出来ないというのに。

「部長こそなぜCOOGAに?論文で大きな賞も取って、ステラ博士の後を担うものだとばかり」
「父に頼まれたんだ。COOGAで大きな宇宙開発プロジェクトを発足させるから手伝ってほしいって」
「それならこんなところに来ている場合じゃないと思いますが」
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