天河と七星
「いや、ここには大事な仕事があって来たんだ。
七星を新プロジェクトチームにスカウトするという仕事がね」

まっすぐ過ぎる彼の視線が痛くて私は目をそらす。
彼が私を七星と呼ぶだけで心の奥がツンとする。

「私には無理です」
「人はそんなに簡単には変わらない。七星が宇宙への関心を失うはずがない。キミの根底にはまだ宇宙への情熱があるはずだ。
そもそも、なぜCOOGAへの就職を希望した?宇宙開発に関する仕事ができるからじゃないのか?」

真実を前に、私は何も言えない。

二人で飽きることなく宇宙へ思いを馳せ夢を語りあった、あの頃と変わらず今でも宇宙のことを考えることは好きだ。
でも。幸せな思い出は心の奥に無理やり押し込み鍵をかけてある。

「COOGAのような一流企業なら安定した収入が望めるから希望しただけです。今の業務には慣れていたので続けたかった」

天河がぐいっと私の肩を掴んだ。
彼の大きな黒い瞳がまっすぐに私をとらえている。まるで私の中の本当の思いを見透かすように。
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