天河と七星
「天河、熱っぽくない?」
「……ちょっと興奮しすぎたかな」

様子がおかしい。急いで部屋の電気をつける。
天河はだるそうにベッドへと向かっていった。

ベッドに横になった天河の額に手を当てると熱い。

「ナースコールする?」
「これくらいなら平気。せっかく七星が来てくれたのにな。誘うのにすごく勇気出したんだよ。
もっと一緒に夜空を見ていたかった」

天河は額に触れていた私の手をつかみ、そっと手の甲に口づけをする。
私はびっくりして手を引っ込めてしまった。
天河が悲しそうな表情を浮かべている。

手の甲にキスなんて王子様みたいだ。残念ながら私はお姫様じゃないけれどドキドキする。

「だめだね、僕は。せっかく楽しい時間が台無しだ」
「そんなことない。一緒に天体観測できてすごく楽しかった。ごめん、これにびっくりして」

私は自分の手の甲を天河に見せた。たぶん、私の顔赤くなってると思う。そんな私を見て天河も笑ってる。

あぁ、天河の笑顔が愛おしい。つられて私も笑ってしまう。
なんだか胸がポワポワと温かかった。
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