天河と七星



翌日も病院には行ったけれど、カフェには寄らなかった。

「七星」

七海との面会を終え病院を出ようとした私に声をかけてきたのは、天河だった。

とっさに逃げたいと思った。
でも、血色も悪く今にも消えそうなほど儚い様子の天河をそのままにしていくことが怖くなった。
いつからここで待っていたのだろう。

「昨日はごめんね。驚かせたよね。車椅子乗らなくて大丈夫?具合悪そうだよ?」
「車椅子だと逃げられたら追いかけにくいから。階段使われたら見失ってしまうし。
七星、今日はお互いのことを話さない?僕は七星のことをもっと知りたい。僕の病室に来て」

私はふらりと歩く天河にハラハラしながらついていく。いつ倒れてしまうか不安でたまらなくなる足取りだった。こんな彼を置き去りにして逃げるなんてできない。

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