天河と七星
※※


その夜。
私は天河と一緒にホテルストリークの最上階ロイヤルスイートルームにいた。


一番夜空に近いところで、二人で婚姻届にサインをした。

なんだか、怒涛の展開に頭がついていかないけど。
だけど。隣を見れば天河がいる。
これは間違いなく幸せなことだ。


「大丈夫?天河」
「今ほしいのはそんな言葉じゃないよ、七星」


具合が悪くなったらいつでも病院に電話する約束だった。
だけどこの夜の天河は体調を崩すことはなく、それどころか戸惑う私を翻弄した。


ーーいつか、二人で満天の星空を見に行こう。
空に近いところで一緒に天の川が見たい。

初めてふたりで迎えた朝に交わした約束。


でもそれは果たされることのない約束だった。


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