天河と七星
取り急ぎ天河のご家族に会って話をしたいことがあると時間を作ってもらった。
天河のお祖父様とご両親、それに兄の大河さんが揃っていた。
私は中條家の現状を素直にさらして、深々と頭を下げた。
「七星さんは、どうしたいと考えていますか?」
「大輔さんはもう手の施しようがない。あんな家があるから甘えてしまうんです。中條の家も土地もすべて処分して借金の返済に当てたいと思います。
ただ、それだけですべてが水に流せるとは思えません。
このままでは天河にも皆様にも多大なるご迷惑をおかけすることになります。それだけは避けたい」
「俺からも聞きたいことがあるんだ」
大河さんが私に声をかけた。
「あなたは一生、天河の介護をする覚悟はあるのか?医療の発展とともに改善するかもしれないが天河の体は強くない。見知らぬ土地で、自分のことなんて後回しにしても天河の世話ができるか?
七星さん。中條という爆弾をかかえながら天河を支えていたら、あなたが壊れてしまう未来しか見えない。
やっぱり結婚は少し早かったと思う。中條のことをきれいに片づけるほうが先だった。そう思わないか?」
大河さんは弟の天河のことが大好きだからこそ、私のことまで心配してくれるのだ。
いまは夢中で周りが見えなくなって突進している天河。
でも、きっとこのご家族がいれば私がいなくても彼は大丈夫。