天河と七星

書いた手紙を大河さんが天河に届けてくれたと知らせがあった。
その時、兄弟の間でどんな話をしたのかも教えてくれた。


「とりあえずさ、七星さんあと一年で大学卒業できるんだし待ってやれば?その間に中條家のこと解決してやればいいじゃん」
「アメリカでも勉強できる。休学扱いにしてもらうよ。中條家なんて見捨てておけばいい」

最初、天河はそういって離婚届を受け取らなかったらしい。

「天河。冷静になれよ。
彼女のことが好きな気持ちはわかる。でも、お前一人、突っ走りすぎじゃないか?
金の問題や気持ちの問題じゃない。今のままじゃ、満足に勉強できるか?七星さんは天河の介護と中條家への気苦労で若さを消費させるだけになるかもしれないぞ。
まずはアメリカでしっかりと体を強くしてこい。
お前が離れれば中條家も諦めておとなしくなるはずだ。
七星さんをしばらくは自由にさせて、視野を広くさせてみろ。
そのうえで彼女がやっぱりお前を選ぶなら、もう、何も言わないよ」

大好きだという気持ちだけでは解決できないことをズバリと言い当てられ、天河は冷静さを取り戻したらしい。

「七星の意思を尊重する」

そう言って手紙と離婚届を受け取ってくれた。


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