天河と七星
「中條さんもこのプロジェクトに参加するんだね」
そこへ声をかけてくれたのは山口部長だった。
「お久しぶりです。私は九条部長の車椅子介助で来ただけです。
それより聞きました。九年も私のこと見守ってくださっていたなんて」
「天河が戻ってきたら出世させてくれるって約束だったし。それほど大したもんじゃないよ。
中條さんに近づきそうなやつはこっそりとばしたり、俺みたいな監視がいて中條さんが不憫だったくらいさ」
山口部長は笑い飛ばすけど、そんなことしていたなんて知らなかった。みんな仕事がつまらなくて長く続かないんだって思っていた。
「余計なこと言うなよ」
天河が真っ赤になっている。
「上司として赴任して中條さんにもう一度惚れ直してもらいたいって、カッコつけてだいぶ気取ってんだろ。
作戦は上手くいったのか?」
「もう、やめてよ」
「アハハ。中條さん、天才のくせに可愛いだろ?天河ってやつは」
私に冷たかったのは嫌われてると思ってたけど、カッコつけだったのか。
山口部長にかかれば天河はただの子供みたい。こんな可愛い天河は懐かしい。
「おっと、向こうで呼ばれた。じゃあな」
山口部長はあちこちで声をかけられている。コミュニケーション能力が高い人だ。