天河と七星


会場にはビュッフェスタイルの食事が準備がされている。でも参加者は食事よりプロジェクトの成功に向けての歓談に夢中だ。

そんななか、料理を貪るように食べている二人の人物に気づいた。

「この肉うまいな。七海も食え」
「本当だ。さすがは一流ホテルね」

どうして、この二人がいるの?

「大輔さん?七海?どうしてここに?」

私が声をかけると、二人は私をちらりと見た。

「何だよ、その怪しむ顔は。俺達は九条に呼ばれたから忙しいのに来てやったんだ。招待状もあるぞ、ほら」

大輔さんがポケットから天河の名前の入ったカードを取り出す。指定された時間はずっと後だ。しかも場所は同じホテル内だけどこの会場じゃなくカフェになっている。

この二人のことだから早めにカフェに来て、天河の支払いにしてたくさん食べようとしていたのだろう。たまたまこの会場を見つけて、天河の名前の入ったカードを見せて関係者だとか言って、どさくさに紛れて食べていたってところかな。
全く、意地汚いというか、図々しい。

「ここはCOOGAの関係者しか入れません。カフェで待っててください」
「七星のくせに偉そうに。こんなに食べるもの余ってるんだからいいじゃない」
「そうだ。ケチケチするな」

食べ物のことしか頭にない二人。大事な新プロジェクトの内容を理解していないことが幸いだ。

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