天河と七星


その時。ドアが開いて大河さんが姿を見せる。大河さんが振り返って、誰かの入場を促した。

あれは……。

天河の車椅子を押して入ってきた人物に目を奪われる。
無造作な口ヒゲをたくわえたその人を見間違えるはずがない。
本名リアム・スチュアート。親しみをこめてステラ(星)博士と呼ばれている、宇宙工学の世界的権威。

「天河がどうしてもって言うから来たけど。僕はこのプロジェクトに参加するつもりはないよ。僕は会社ってやつに縛られるのが大嫌いなんだ」

ステラ博士は眉間に深いシワを寄せ不機嫌そう。天河が苦笑いしながら、そう言わずにとなだめている。

憧れ続けた博士が目の前にやってきた。それだけで緊張はMAXだ。

博士の視線が私をとらえる。
すると博士は瞳を大きく見開きハッと息を飲んだ。
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