天河と七星
「驚いたな。血は争えないってことか。ナナセ、アメリカで僕と父娘として暮らさないか?一緒に研究をしよう」

私と博士の会話を聞いていた天河は困ったような表情を浮かべている。

「博士。七星は僕の妻です」
「…なんと!では、天河、キミは僕の愛弟子だけじゃなく息子でもあるのか!
天河は小さい頃から僕に熱烈な手紙を送ってくれてね。僕は天河の才能に惚れ込んでいる。唯一無二の愛弟子だ。
そうか、君たちと一緒に大きなことをするのもいいな。
COOGAは金に糸目はつけないと言っていることだし、一つ派手にやるか」

ステラ博士がプロジェクトに参加の意志を見せると、それまで固唾をのむようにして親子の再会を見守っていた会場のボルテージは一気に上がった。

私はこの決起会の主役に躍り出てしまった。
もう出来ないとはいえない。
自信はないけれど、ステラ博士と天河のそばで補佐ができることは幸せなことだ。

精一杯、私にできることを頑張ろう。

前を向いて私が決意を新たにしたその時だった。
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