天河と七星

「ステラ博士!」

博士がとっさにかばってくれたのだ。博士のスーツはトマトソースで真っ赤になってしまった。

「これがナナコの家族か。ひどいな。
七星、苦労をかけてすまなかった。悔しいが過去は変えられない。でも、これからは君の父親として君を守るから」

ステラ博士は私を娘として受け入れて愛してくれようとしている。

中條家には精一杯尽くしてきた。言われるがままにお金も渡したし、どんな扱いを受けてもじっと耐えた。それが育ててもらった恩返しだと思っていたからだ。それが終わることはないと思っていたけど。

お父さんと天河が迎えに来てくれた。

だから、私。

もう中條には戻らない。
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