天河と七星

「アメリカでしっかり治療して体力をつけて、七星と一緒に歩いていくって決めてずっと頑張ってきた。
でもだめだね。やっぱり神様が決めたことを覆すことは難しいよ」

「どういうこと?」

「僕と大河はね、母のお腹にいるときに神様と取引をしたんだ。
僕らが生まれる世界はどうやら大変な世界だ。だから、普通はいらない、大河に体力を、僕に知力をと願ったんだ。だから大河は馬鹿だけど運動能力に長けていて、僕は体が弱いけれど知力なら負けない。お互い補い合えば無敵なんだけどね」

「実は内緒だけど、俺の雑誌の連載エッセイとかは天河が代筆してるの。どうしても断れなかったクイズ番組なんか天河に俺のフリして出てもらったこともある。俺、馬鹿だからそういうの苦手なんだよ」

「ウソ!それ、バレなかったの?」

大河さんと天河は顔を見合わせて、もちろんと笑って見せる。

「うわぁ。大胆。その番組見たかったぁ、双子が入れ替わるなんてマンガの世界みたい」

想像したらおかしくなって笑いが止まらない。笑う私を二人が優しく見つめてる。
沈んだ私の気持ちを少しでも晴らそうとしてくれた二人の作戦だったみたい。

「やっと、笑ってくれた。もう大丈夫そうだね。
じゃ、俺、仕事あるから行く。七星さん。歳は俺のほうが下だけど兄だと思っていつでも頼って。
あ、ちなみに新プロジェクトの内容はさっぱりわからないから。俺は宣伝活動担当なんで。
七星さんのおかげでステラ博士がプロジェクトに携わってくれることになったし、今のところ俺の仕事は上々。
……天河のこと、よろしく頼むね」
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