天河と七星



大河さんが出ていって部屋には天河と二人きり。

天河はわたしをそっと抱き寄せた。

「七星。こんな僕だけど、もう一度始めたい。
好きだよ。
七星じゃなきゃだめだから」

優しく甘く、天河の声が私をとろかせていく。

「天河はずっと私を『主任』って呼んでたよね。あなたは私の名前を守ってくれていたんだね」
「あぁ」
「今日から天河の隣で九条七星って名乗ってもいい?」

コクリとうなづいて、天河は私に優しくキスをした。

私をずっと縛りつけていた中條の名の呪いが解けていく。
私はただ愛する人に守られながら、彼を信じて支えて生きていけばいい。

「毎日夜空をながめましょう。天文台のある家に住みたいわ。一晩中宇宙について語り合いたい。ステラ博士をいつか論破したい。
母の夢だったロケットで宇宙旅行もCOOGAなら夢じゃないかも。
それからマナみたいな結婚パーティもしたい。ステラ博士、父親として私とバージンロード歩いてくれるかな。
どうしよう、天河。あなたと一緒にやりたいことがいっぱい。
私ってすごく欲張りだったみたい」

「いいね。一つづつ叶えていこう」

二人で並んで窓の外をながめた。

夜景が明るくて星はあまり見えない。
それでも明るい星たちは夜景に負けじとまたたいて見える。

天河が指さした向こうに北斗七星の姿を見つけた。

ぎゅっと肩を寄せて二人で見つめる。

涙が出そうなくらい幸せな時間だ。

こんなに幸せな夜を、これからもずっと。




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