【完結】夢交差に輝き満ちて

 だけど夢が、実現させたい本当の夢だと思うほどに……私の胸はキリキリ痛む。

 オレンジ色の夕陽が、綺麗すぎて胸が痛くなる。
 切ないオレンジ色が、一層心を痛ませる。

 私の恋心と同化するような、オレンジ色。

 こんな、こんな瞬間はもうないかもしれない。
 彼とこんな二人きりの時は……。
 これから受験生で、忙しくなって……。

 こんな時間は、もうきっとない。

 彼の隣で、彼が好きだとこんなにも感じて
 想いを告げられる時は――。

 ……でも……。

「……でも私の夢は叶わないもん」

「なんで?」

「……どこかのバカが……」

「ん?」

「どっかのバカの夢が……世界中を自由に旅する吟遊詩人だからだよ……」

 あぁ……全てが揃ったこの素敵なシチュエーションをぶち壊してしまう私……。
 世界を旅する吟遊詩人のお嫁さんには到底なれないね。
 好きな人のこと、バカとか言っちゃうバカな私。

「……未来……」
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