気まぐれランデブー

 私の最初で最後の一目惚れは、あっけなく散った。そう思っていた。



「あの。よかったら少し、付き合ってもらえませんか」




 こちらに傘を傾ける彼に、そう声をかけられるまでは。



「付き合うって、なにを?」

「少々話しませんか。さすがに家は知られたくないと思うので、近くまで送ります」

「いやいや、それはさすがに悪いので」

「……俺があなたと話したい、と言ってもだめでしょうか」



 運命とは、最初から決まっていた巡り合わせのことだとするならば。






 私は彼との出会いを、"運命"と呼びたいと思ったのだ。

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