人狼様と魔王の側近
謎の事件
一方同じ頃、ヴァイオレットたちが住む世界とは全く違う世界でも事件が起きていた。そして、その魔の手は少しずつ彼らに近付いている。しかし、それにまだ誰も気付いていない。

魔王であるクラル・ディスペアの側近であるルーチェ・クロウディアは、その日、森に足を運んでいた。ルーチェ一人ではない。クラル、そしてルーチェの友人であるアーサー・ウィリアムズとティム・ラファール、そしてルーチェの兄であるヴィオレット・クロウディアがいる。

「この辺りでいいんじゃないかな?」

ヴィオレットが言い、クラルが「そうだね」と頷く。そこは森の木々がぽっかりとなくなっている場所だった。上空から見るとまるでドーナツの穴のように見えるだろう。

「一応結界を張っておくよ。こんなところ人が来るとは思えないけど、一応」

ルーチェはそう言い、呪具を振りながら心の中で呪文を唱える。杖から光が飛び出し、ドーナツの穴のようにぽっかりと開いた空間全体を覆っていった。
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