人狼様と魔王の側近

ティムの吹いた笛の音色が死者の足を止めさせた。その隙にアーサーが切り付けていく。クラルは死者の攻撃を避け、一体の死者を斬り付けながら呪文を唱える。すると空中から複数の剣が現れ、死者たちを刺していく。

ルーチェも呪具を死者に向け、呪文を唱えた。すると呪具の先から黒い光が現れ、死者を次々と撃ち抜いていく。

数十分かけ、ルーチェたちはヴィオレットが作り出した死者を全て倒すことができた。肩を大きく上下させて息をしているルーチェたちに、ヴィオレットが手を叩きながら近付く。

「みんな、前よりも倒すのが早くなっているよ。すごい！」

「強くなってるってことだよな！やったぜ！」

アーサーが叫び、ティムと肩を抱き合う。強くなっていることにルーチェは喜びを感じつつ、まだ上下に肩を大きく動かしていた。鼓動が激しく動いている。

「ルーチェ、お疲れ様。これ飲もう」

クラルが話しかけてきた。その手には紅茶が入ったカップがある。森で訓練をすることを話したところ、クラルの母であるノアが紅茶とサンドイッチを用意してくれたのだ。