人狼様と魔王の側近
それぞれの杖から魔法が飛び出し、大蛇を攻撃していく。砂埃が上がり、大蛇の姿が見えなくなった。

「やったか」

はねた赤髪の男性が剣を握り締めながら呟く。しかし砂埃が消えた後、そこに立っている大蛇を見て全員の顔に混乱や絶望の色が現れた。大蛇はあれだけの攻撃を受けたにも関わらず、傷一つない。

（どういうこと？イヴァン様たちの魔法が効いていない？）

ヴァイオレットが考え始めた刹那、壁に再び文字が現れる。全員の目が大蛇から文字に向けられた。

『その村は毎年洪水が起こる。その洪水は建物を流し、その土地からは何もかもが消えてしまう』

文字を読み終えた直後、大きな音が聞こえた。その音を認識した数秒後、ヴァイオレットたちを水が襲っていく。川よりも速度の速い水はヴァイオレットたちを流していく。突然のことに全員必死に足を動かし、溺れないようにするしかない。

（一体何がどうなっているの？）

溺れそうになるヴァイオレットの体をイヴァンが魔法で支えてくれる。刹那、ヴァイオレットの瞼が重くなり意識を失った。
< 22 / 36 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop