人狼様と魔王の側近
『あいつらもこんな目に遭えばいいのに……!』
『憎い、憎い、憎い……!!こんな風に呪い殺したい!!』
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』
ヴァイオレットの重い頭の中に、何十人もの人間の声が反響する。彼女は誰が話しているのか確かめようと目を開けようとしたものの、それはできなかった。瞼に接着剤でも塗られたかのように開けることができない。おまけに口をきくこともできなかった。
(あなたたちは誰ですか?)
そう心の中で訊ねても、誰かを呪う言葉は止まない。ヴァイオレットが恐怖を感じた刹那、目の前に光が差した。
「ヴァイオレット!」
「気が付きましたか?」
イヴァンと黒髪の男性がヴァイオレットを覗き込む。ヴァイオレットはゆっくりと体を起こし、「すみません、急に意識がなくなって……」と話した。ヴァイオレットの言葉に青みがかった黒髪の男性が言う。
「もしかしてあなたは、この本と共鳴をしたのかもしれません」
「共鳴?それは何ですか?」
「吸い込まれた本に込められた思いに触れたということです」