人狼様と魔王の側近

「そのようなことが起きていたのですね……。教えてくださり、ありがとうございます。えっとーーー」

ヴァイオレットはそこで気付いた。自分たちはお互いに自己紹介をしていないことに。青みがかった黒髪の男性もそのことに気付いたようで、「クラル・ディスペアです」と名乗る。

「僕はルーチェ・クロウディアと言います。よろしくお願いします」

クラルが自己紹介をした後、黒髪の男性がそう言った。今度は赤髪の男性が言う。

「アーサー・ウィリアムズ。剣術士です。よろしくお願いします！」

「ティム・ラファールです。よろしくお願いします」

白髪の男性も名前を言い、頭を下げた。最後はここに来てから一度も声を聞いていない男性の番である。

「ヴィオレット・クロウディアです。ルーチェの兄で、みんなからはビオラと呼ばれています。よろしくお願いします」

ヴァイオレットたちもそれぞれ自己紹介をした。その後に、フェリシアーノが腕組みをしながら言う。

「恐らく、僕たちと君たちは違う世界の人間だと思う。王家の人間しか読めない書物に異世界が存在することが記されていたからね」