人狼様と魔王の側近
「やっぱりそうでしたか」

クラルがそう言い、アーサーとティムは「すごい!!異世界の人とあるなんて!!」とはしゃぐ。ルーチェとヴィオレットは驚いた様子だった。

「異世界があるなんて……。この世界はまだまだわからないことばかりですね」

ヴァイオレットがそう言うと、「私も知りませんでした」とサクラが呟く。彼女はフェリシアーノの側近だが、王家の人間ではない。知らないのも当然だ。

「お前、そんなこと知ってたんだな〜」

感心したようにオリバーが言うと、「酷くない!?」とフェリシアーノは怒ったフリをしながら言い、笑いが起こる。ヴァイオレットも声を出して笑っていたのだが、不意にイヴァンに手を引かれた。

「イヴァン様?」

「ヴァイオレット、異世界の人に惚れたりしない?かっこいい人ばかりだから……」

心配そうに訊ねるイヴァンに、ヴァイオレットの胸はキュンと音を立てる。イヴァンの頭にはシュンと折れた動物の耳が見え、ヴァイオレットは微笑みながら言った。

「イヴァン様、心配しなくても私はあなただけを見ていますから。安心してください」
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