人狼様と魔王の側近
ヴァイオレットが体を震わせる。言葉が途切れた。ヴァイオレットは「申し訳ありません」と言い、続けようとする。それをクラルが「無理に話さなくてもいいですよ」と止めた。

「暗闇の中何十人もの人の声がする……。あまりいい光景ではなさそうだね」

フェリシアーノの言葉に全員が頷いた。闇は人の休息に必要なものだ。しかし、永遠と続く闇に人は恐怖を感じてしまう。

(この洞窟は、ヴァイオレットさんが感じた共鳴と関係があるはずだ。一体何なんだろう……)

ルーチェは黙り込み、考える。するとまた壁に文字が浮かんだ。「また何か起こるぞ!」とアーサーが顔を真っ青にした。

『呪われた槍が罪人たちに降り注ぐ。辺りは血に染まり、それが新たな呪いを生むだろう』

「おい、まさか槍って……」

オリバーが恐る恐る上を見上げる。ルーチェも釣られるように上を見た。先ほどは何もなかった天井にギラリと光る刃が無数にぶら下がっている。そしてルーチェたちがそれを認識した瞬間、槍は勢いよく降ってきた。

「ッ!」
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