人狼様と魔王の側近
「弱いわりに、結構なことをしてくれたね」

球体にクラルは冷たい声で言う。その声には怒りがあった。クラルとヴィオレットは同時に魔法を放った。しかし、球体には傷一つ付いていない。

「弱いんじゃなかったのか!?」

アーサーが驚いた声を上げる。クラルとヴィオレットは戸惑った様子を見せた。

「完璧な魔法のはずだったんだけど……」

ヴィオレットが呟いたその時、サクラが「あの」と声を上げた。その手には床に落ちていた本がある。

「この球体の正体は、ここに落ちている本たちなのではないでしょうか?」

「えっ?」

全員が声を上げる中、サクラは冷静に続ける。

「この本たちはどれも、書きかけでしかも誰かを呪うような描写ばかりです。これらをハッピーエンドに書き換えることができたら、何かが変わるのではないでしょうか?」

「さすがサクラ!早速取り掛かるよ!」

フェリシアーノが近くにある一冊の本を手にし、魔法で書き換えていく。すると本は光の粒子となって消えてしまった。

「いつもの仕事もこれくらいのスピードでやってくれたらいいんだがな」

オリバーはジトリとフェリシアーノを睨みつつ、本を手に取った。
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