人狼様と魔王の側近
「サクラさんの仮説が正しそうだね」

ルーチェは頭を押さえながら、近くにある本を手にする。呪いの言葉はまだ頭の中を渦巻いているものの、球体に触れた直後よりはマシになっていた。

「ルーチェ、無理はしないでね」

クラルが心配そうにそう言うため、ルーチェは笑みを浮かべ、「大丈夫」と答えた。

一冊ずつハッピーエンドに書き換えていく。本は書き換えると消えてしまい、薄暗かった部屋も明るくなり始めていた。

「全部の本を書き換えたら、この本から出られるんじゃないかな?」

イヴァンがそう言い、「その説はあってるかもしれませんね」とヴィオレットが返す。部屋はどんどん明るくなり、先ほどと印象がかなり違う。

やがて何十冊もあった本は一つになった。その本を宙にルーチェは浮かべる。この本をハッピーエンドに書き換えたら、この本から出られる。しかしそれはヴァイオレットたちとの別れということだ。

「ヴァイオレットさん、イヴァンさん、フェリシアーノさん、オリバーさん、サクラさん、会えてよかったです。ありがとう!」
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