人狼様と魔王の側近

「二人とも綺麗……」

ヴァイオレットがそう呟くと、「サクラは努力家ですし、フェリシアーノはあんなのでも次期国王ですからね」とオリバーが言った。

「ヴァイオレット、何か飲み物持って来ようか？」

「ありがとうございます。では、ミルクティーをお願いします」

イヴァンが飲み物を取りに行く。その後ろ姿をチラリと見てから、またヴァイオレットはフェリシアーノとサクラの踊りを見ていた。その時である。

ーーードサッ。

そんな物音が背後でした。ヴァイオレットが振り返ると、そこには一冊の本が落ちている。

（本？どうしてこんなところに……）

ヴァイオレットは本を拾い上げた。本はまるで夜の闇のように真っ黒で、タイトルなどは書かれていない。不気味な雰囲気を放っている本だったが、読書好きなヴァイオレットは読んでみたいという気持ちに駆られていた。

（この本にはどんな物語が書かれているのかしら？ホラー小説かしら？それともミステリー？）