海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜



「何でっ…何でそんな勝手なことするのっ!?そんなことされてもっ、私…凪砂に何も返せないよ。私は今のままでいいっ!今のままで十分幸せなの。これ以上私の中に入ってこないでっ!これ以上っ・・・凪砂と一緒に居たら、、次別れを告げられた時・・・私、きっと生きていけなくなるっ」


次に私の前から凪砂が姿を消した時、きっと私はもう一人では生きていけないだろう。


瀬凪がいても、きっと凪砂を求めて・・・どうしようもない人間に成り下がると思う。



そんな惨めな人生を送るのは嫌だ。

だから今のまま、、このままの関係で居たいんだっ。




「今のまま──なんて、俺が許すと思ってんの?」


凪砂はジッと私を睨みつける。



「俺は嫌だ。お前が洋平にお疲れって言うのも、俺以外の男が簡単にあの部屋に入ってたことも、俺の居ないところでお前が酔って介抱されてたのもっ・・・そんなこと二度と出来ねぇように、俺はあの家を買った。俺以外の男との思い出なんて、この先一つも作らせたくない」





……もしかして、優香の命日に私の家にみんなで集まってた時のことを言ってる?





「なぁ、萩花・・・お前俺が好きなんじゃねぇの?」




凪砂はいつものポーカーフェイスを崩して、泣きそうな顔をして私と目を合わせる。



「いい加減、俺だけの萩花になれよ」



そう言って静かに涙を流す凪砂を見て、私もうっかりもらい泣きしてしまい─…


黙って首を縦に振って頷いた。









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