海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜



「─…萩花、聞こえなかったのか?俺と、」

「いやっ、聞こえてたよ!しっかり聞こえてたから、そんなこと何度も口に出さないでっ!」



何も反応しない私に、更なるダメージを与えようとしてくる凪砂の声を遮って黙らせる。

なんの前触れもなく、ましてや誕生日を祝うと言って誘ってきた上に、こんな高級レストランにまで連れてきておいて、、ここで【別れてくれ】なんて言われても、正直現実味が全くない。


むしろ、どういう神経をしているのかと問いたくなるほどに、私には理解し難い状況にある。



「あのさ、別れようと思ってたなら何で今日誕生日を祝うなんて言ったの?」


一つ一つこの状況を整理しようと思い、まず一番初めに聞いておきたかったことを尋ねた。


「それは、約束したから・・・今年は萩花の誕生日をちゃんと祝うって。約束しただろ?」


たしかに、この二年誕生日の日を一緒に祝ってもらった思い出はない。そのことに関して文句を言った記憶もないけど、凪砂は気にしていたみたいで、今年の誕生日は絶対に休みをもらって一緒に祝うと約束してくれていた。


どうせ守られることはないだろうと、半信半疑で聞いていたけど・・・どうやら凪砂はその約束を覚えてくれていたらしい。



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