海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜

「じゃあ今日で最後にするね。凪砂のことを慰めにくるのも、優香のためにずっと・・・我慢してきたのもっ・・・今日で辞める」

──…優香

私が彼女の名前を凪砂の前で出したのは、彼女が亡くなった日以来これが初めてだった。


「私、本当はずっと凪砂のことが好きだった。でも同じくらい優香のことも大好きだったから、ずっと今まで言えなかった・・・」


私の告白が予想外過ぎたのか、凪砂は目を見開いて心底驚いたといった表情で私を凝視している。



「こうやって会いに来てたのは、凪砂のことが心配だったのもあるけど・・・凪砂のことを残して死んでしまった優香は凄く無念だったと思うから・・・優香が一緒に居られなかった分、私が代わりに凪砂に会いに来て、、いつもその帰りに優香に凪砂のことを報告して帰ってた」


広島からの帰り道、私は自宅へ帰る前に必ず優香のお墓に立ち寄り、凪砂の様子を報告していた。


──…でも


「それも今日で辞める。凪砂がもう会いに来なくていいって言ったから・・・"優香の代わり"はもう辞めるっ!これからは私が凪砂に会いたいからっ・・・だから勝手に会いに行く!福岡だった…?それなら広島に来るより、交通の便も良いし、今までより通いやすいよ!」



吹っ切れたように胸を張ってそんなことを言い切った私を見て、何度か瞬きをして状況を理解したらしい凪砂は、、


「っは・・・お前、バカかよっ。そんなこと言われたら、もう会いに来るななんて、、言えるわけないだろ」



そう言って諦めたように笑うと、


「─…萩花、ありがとう」


初めて私を抱きしめてくれた。



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