【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~

暗い雨

◇◇◇

 あの公園。
 放課後に暗い雨が降ってきた。

 一人の少女が下を向いて、立ち尽くしている。

「今更……謝ってきてなんなの……? あいつら……なにが、ごめん……? 今更……私の大好きなゲームを馬鹿にして! 許すわけないだろ!!」

 びしょ濡れになった少女の後ろから、金髪の美少年が語りかける。

「全部、総長飛鳥のせいじゃない?」

「……総長飛鳥の……そうだ、あの放送のせいだ!!」

 少女の顔は怒りと恨みで、醜く歪む。

「彼はさ……あやかしのくせに、お天道様の下で生きてきたから……雨に打たれてきた人間の気持ちなんかわからないんだよ」

「……そう、あんな総長や四天王なんかに……あたしの気持ちはわからない……!!」

「雨に濡れて、べっちゃべちゃに泥まみれになったものは急には乾かないし……キレイにはなれないよね……」

「そう……そうだよ……」

「でも穢れた醜さほど……美しいのさ」

「あたしのこと……?」

 少女は、蒼玉を見る。
 彼は今日も麗しく美しい。

「そうだよ。さぁ始めよう」

「王子様ぁ……ふくしゅうしたいです……」

「いいよ……おいで、復讐だ……」

 蒼玉が微笑むその後ろには、異形のもの達がひしめきあっている。
 女生徒はうっとりとしたまま、その中に飲み込まれていった。
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