【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~

「あやかしも今じゃ現代に適応してるよねぇ。中はそれぞれフロアによって道場だったり、式神統括施設だったり、事務所だったり色々あるんだよ」

「すごいね……」

 何度も何度も驚いてしまう。

 一階は警備員もいて、スマホアプリでの識別確認をされた。
 
 茜は顔見知りのようで、案内される。
 三人の女性が桃花に付き添い、お清めと言われ身体を洗った後に、赤い着物を着せられた。
 神社の巫女さんのような格好だ。
 不安に思った頃に、茜も同じような巫女服を着て現れた。

「こっちだよ。驚くと思うけど、大丈夫だからね」

「え? うん……(驚く??)」

 確かに案内された場所は、高層ビルの中とは思えない。
 木の板床。
 木の壁。

「まるで此処は……」

「桃花、桃花……やっと会えたなぁ」

 老婆の声が聞こえた。

「お、お、お、おばあちゃん……!?!??!!」

 少し遠い場所に蝋燭の光に照らされた老婆。
 しわくちゃな顔だが、目が大きく桃花と色違いの橙色の巫女服を着ている。
 
「おお、可愛い孫娘……この日を待ち望んだんじゃよお」

「うそ……だって……おばあちゃんは……もう亡くなったはず」

 葬式も参列した記憶がある。
 あれは……あの夏の後だっただろうか?
 
「お前のためじゃあ! 桃花ぁあああ!」

「ひゃあ!」

 しわくちゃの顔で、目を見開き叫ばれて桃花は驚く。

「おばば様~桃は大人しい女の子だって、何度も言ってますよね。怖がってます」

「ほほほほほ、桃花おいで。美味しいお菓子を食べようじゃないか」

「おばあちゃん本物? ……そのお菓子」

「もちろん、生きた本物のお前のばあちゃんだよ」

 流行りのお菓子ではない。
 口がモサモサする饅頭のようなお菓子や、キラキラしてキレイだけどねっちょりしてるゼリーのようなお菓子。
 餡の入った小さなモナカ。
 おばあちゃんの家に行くと桃花が大好きだと思って出してくれていたお菓子。
 それがまた、あの頃と同じ木の器に入れられている。
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