【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~

「すまなかった。まだお前は幼子だったから、説明しては余計に危険が増える。だが巫女となったお前は、まだあの村を離れるわけにはいかなかった。あの場は神聖な場所、あそこで、すくすく育つ事が1番大事だ」

「そんな理由が……おばあちゃんはどうして死んだふりまでして此処に……?」

「お前から危険を遠ざけるためじゃ。村の社を閉鎖した……ように見せかけた。ワシは飛鳥家に守られながら不死鳥がお前が巫女の器に育つまで此処で不死鳥様に祈り続けた……」

「私のために……此処でずっと? そんな……」

「なぁに、幽閉されてたわけでもない。子供のお前にとっては長い月日も年寄りにはあっという間。ワシが託した鏡のせいで……まさかお前が巫女に選ばれてしまうとは……すまないのう」

「……まだ思い出せないの……でも、私がそれで紅緒くんを、みんなを救えたなら良かったって思ってる……」

「桃花」

「巫女になれるように頑張る……! だから色々教えて、おばあちゃん」

「立派になった……その優しさ強さがあったからお前は選ばれたんじゃな……」

 おばあちゃんの瞳にまた涙が浮かび、桃花は強く抱きしめられた。
 懐かしいおばあちゃんの匂い。
 騙されたなんて思わない。ずっとずっと色んな人達に守られていたことを感じる。
 
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