【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
紅緒のお迎え
一階に降りるとロビーで紅緒が待っていた。
「べ、紅緒くん」
少し離れていただけなのに、彼を見るとホッとすると同時に心臓がドキドキする。
「桃花、おつかれ」
慌てて駆け寄ると、紅緒は微笑む。
「あの! 忙しいのに! わざわざ、ありがとう」
「あぁ。茜に言われたんだけど……大丈夫か?」
「えっ?」
「俺が迎えに来て」
「も、もちろんだよ! ……ありがとう、あの……嬉しいです」
恐れ多いと桃花はペコペコ頭を下げる。
まだ桃花の存在を知らない人達が、不釣り合いな男女を見てパスで通過していく。
「それなら良かった。礼なんかいらねーから……あ~腹減ったな」
「た、たしかに」
おばあちゃんから貰ったお菓子はとっくに消化してしまって桃花もお腹が鳴りそうな空腹だ。
「夕飯もあるけど、ちょっとコンビニ寄って帰るか~雨も上がったしな」
「えー不良っぽい!」
桃花の驚いた顔に、紅緒が苦笑する。
「ただのコンビニだし、まだ20時だぞ」
「こんな時間に村ではやってる店もなかったし出歩いたこともないの」
「そうか、じゃあ新体験だな! 行くか」
「うん」
ビルを出ても輝く街。
二人で歩き出す。
まだ人が混み合う学園都市には様々な人が行き交う。
モノレールに乗る前に、コンビニで買った肉まん。
食後のデザートも買った。
ベンチに座って、アツアツの肉まんを頬張る。