【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
もう教室に入る時間なんだろう、廊下には誰もいない。
田舎の中学校は、小学校と同じ校舎で、こじんまりとした木造校舎だった。
桃花はつい、キョロキョロしてしまう。
「ここが1年特A組の教室よ。あまり緊張しないで大丈夫だからね!」
「は、はい!」
ダテ眼鏡をかけ直し、ヘルメット前髪を整えた。
緊張がピークだ!
ガラッと教室のドアを開けて、野崎先生が入っていく。
みんなが一斉に注目したのがわかって、冷や汗が出る。
教壇に行くまでにもジロジロヒソヒソ。
学ランの男子に紅いセーラー服の女子。
『え、地味~』
『紅炎学園に、あんな田舎っぽい子が?』
『貧乏くさくね?』
という声が聞こえた。
グサグサと桃花の心に突き刺さる。
「さぁ、みんな転校生よ。仲良くしてあげてね」
野崎先生が、カツカツと桃花の名前を黒板に書いた。
「す、す、朱雀桃花です……あ、あのどくしょ……どく、どくすが趣味です。よ、よろしくお願いします!」
あぁ! 噛みまくってしまったしどくすって何!? と思い嫌な汗が背中を流れる。
クラスメイトの視線と失笑が痛い。