【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~

「桃花ちゃん、お風呂へどうぞ」

 メイドの夕子に、声をかけられた。

「お風呂……」

 夕子に案内され風呂場に行って覗いてみると、大きな丸い大理石の湯船に綺麗な薔薇が浮かんでいる。
 ライオンの口からお湯があふれるように注がれてた。
 海外の高級スパのようだ。

「わぁあ……」

 相変わらず驚く桃花に、使い方の説明をする夕子がクスッと笑った。

「きれい……すごいお風呂……」

「紅緒様からのリクエストです。少しでも桃花ちゃんにリラックスしてもらうためのお気遣いです」

「紅緒くんが?」 

「はい、秘密と言われたんですけどね。ふふ。特別な聖水と岩塩、ハーブなどを混ぜた巫女様専用のお風呂です」

「私のための……」

「あまりに清いと、坊っちゃん達には毒になりますからね。ゆっくりお楽しみください」

「あ、ありがとうございます」

 何もできないと、思っているのにこんなに優しい気遣い。
 あの黒い霧とは、まるで正反対に位置するような白い湯気が舞う素敵なお風呂。

 桃花は制服を脱いで、風呂場に改めて入る。
 シャワーを浴びて髪と身体を洗ってからお湯の浸かる。

「わぁ……いい気持ち……」

 お湯の中で身体を伸ばしながら、いい香りを吸い込むように深呼吸した。

 村に泉があった。
 綺麗な透き通った泉。
 その泉に浸かった時の事を思い出した。

 このお風呂もまるで守られているかのように、心地良い。
 身体も心も綺麗になっていくような気がした。

「……私に、できることはありませんか……?? 何か……力に……」 

 無意識に、祈るようにしてお湯に浸かる。
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