【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
分厚い前髪のまま下を向く。
今だけは、このヘルメット前髪に助けられた気がした。
「あ、ありがとう……ど、読書よね! えっと……じゃあ、みんな拍手~~!!」
とりあえずみんなの小さな拍手が響く。
「あなたの席は窓際の……って、飛鳥君!!」
野崎先生の声が響く。
「あ?」
飛鳥と呼ばれた少年は、コッペパンを食べている。
「あ……あ、あの人……」
まさに、朝に出くわした総長飛鳥!
赤のメッシュが揺れて、先生に怒られても普通にまだ食べている。
「どーして! 朝の学活でパンを食べてるんですか!!」
「腹減ったんで」
「ご飯は寮で食べてきてください!」
「食べてきたけど、すぐ腹減るから……」
ダルそうに、彼はまだコッペパンを食べている。
「でも、ダメ~~でしょ!!」
「でも俺、腹が空いたら何もできねーからな……」
飛鳥はそのまま、残りのコッペパンを一口で食べ終えると、缶コーヒーを啜った。
まわりの女子が『食べるお顔も、飲むお顔も、素敵~~』とキャッキャと騒ぎ出した。
やっぱり、顔はかなり整っていて美少年だ。