【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
誰もいないトイレ……かと思ったが下を向いた一人の少女。
「(あ……前に……いた子かな……)」
今日も暗い雰囲気で下を向いて、桃花が個室から出ても棒立ちしている。
先日にも会った少女だ。
「……あの、大丈夫?」
「……なにが……」
「いえ、一人でいるから……大丈夫かなって」
「前にも会ったよね、あんた」
「うん……前にもトイレで会ったよね」
「……あんた、総長飛鳥と一緒にいる子でしょ」
「えっ……あ、そう……だけど」
情報集めを二人でしているのを見られたのだろうか。
「あんな放送してもらって、守ってもらって良い立場にいるのにさ……あたしに同情してるの?」
「そんな事ないよ! そういうんじゃない……」
まさかそんな事を言われると思っていなかった桃花は焦る。
「あたしにだって王子様くらいいるから!」
「ご、ごめんね。そんなつもりじゃなかった……何か助けにと思って」
王子様? と思ったが、それより誤解を解きたかった。
「助け……あんたが?」
「あ、あの……うん……」
「……じゃあさ、面白いゲームしてみない……?」
「えっ……」
「この『ふくしゅう鬼ごっこ』っていうの面白いよぉ……」
ギクッとした。
スマホをこちらへ向けた時、暗くてギラリと光る目と目が合ったからだ。