【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「俺らへの挑戦ってやつだな! ふざけんな! さぁ総長飛鳥どうする!!」
柘榴が立ち上がって叫ぶ。
周りの生徒達は、チーム同士の抗争が始まるのかと思ったかもしれない。
「儀式の準備を昨日から進めてた。今から行ってくる! 辰砂と柘榴は彩子の家へ動向を探りに行け。珊瑚と苺、茜は学園都市内の巡回と蒼騎審の動きを見ろ。各自、ゲームアプリも起動しておけよ」
「「「「「了解!!」」」」」
「桃花は一緒に来てくれ」
「はい!」
置いてきぼりにされない事が、嬉しかった。
学園から飛び出し、夕子が手配してくれた車に飛び乗る。
窓から大勢の生徒に見られていても、気にしてられない!
車内で隣に座った紅緒が、ふぅーと長い息を吐く。
「なんだか無能なところを、初っ端から見られて悔しいな」
「無能なんかじゃないよ! 紅緒くんもみんなもすごく頑張ってる」
「頑張ってるだけじゃ、ダメなんだ。三人もの人間が苦しんでいる」
紅緒は自分の体裁などではなく、行方不明の三人の事を思って心を痛めている。
彼はこの学園都市を守り続けているのだ――。
「紅緒くん、私には一人で背負うなって言ったじゃない!」
「桃花」
「私もなんでもする……! 絶対みんなを助けよう」
桃花はいつだって自分を守ってくれる紅緒を、自分も守りたいと思った。
それが当然で、二人だと自然に思ってしまう。
二人を、キラキラする温かい風が包んだような気がした。
「あぁ……ありがとう」
自然に繋がっていた手を、お互いにギュッと強く握りしめる。
「今、とりババのビルへ向かって、そこで儀式をやる」
「おばあちゃんのところで? 前に言ってた深く潜る儀式を?」
「そうだ」
紅緒のスマホに連絡が入った。
「鳩田さんからの連絡だ。やはり野崎先生も最後に起動していたのは『ふくしゅう鬼ごっこ』……! どういうカラクリなんだ……」
急いで二人で修行をしているビルへ入って行く。