【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
紅緒が印を結び、何かを唱えだす。
スマホから黒い霧が溢れてきた。
その霧が紅緒を包む。
「(今までに見た霧……? でも、似てるけど違う……あんなに邪悪じゃない……誰かの心の……迷い?)」
「……見える……!」
目を瞑ったままの紅緒が、叫んだ。
「……いるぞ……心の念が見える……」
紅緒が短刀を抜き、スマホの前に置かれた石に突き刺した。
その瞬間に雷鳴と轟く紅い雲のようなオーラが紅緒を包み、そして桃花も包まれる。
「なんだ……力がいつも以上に湧いてくる……なんだか念を越えて、相手に手が届きそう気さえするぞ!!」
オーラは紅色や橙色と、燃え上がる炎のように色を濃くして二人を包む。
「むむ!! 紅緒様と桃花が共鳴して力が倍増している!?」
とりババが叫んだ。
「……この力は……! 潜るどころか……あばけそうだ! 俺は行く……! 桃花、頼む協力してくれ!!」
「うん! 紅緒くん! 私も行くよ……!」
紅緒の体が半分透けた時、桃花も紅緒の体に手を伸ばした。
紅緒が桃花を抱きしめた時、更に激しく雷鳴が轟いた。
「あぁ! 桃花! 紅緒様ぁ!!」
おばあちゃんの叫びが響いた瞬間に二人の身体は消えていった。