【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「ひっ……ひぃいい! だ、誰だ!? ど、泥棒~~~」
振り返るとパソコンの前でひっくり返っている男がいた。
まだ授業中の時間だが、学ランを着ている。
「……その学ラン……紅炎学園の生徒だな……?」
「だ、だ、誰!? 警察を……呼ばなきゃヒィ!!」
泣きそうになっている男子。
頭はボサボサでメガネは曇って、ヒゲも伸びている。
格好に無頓着なのがわかる。
「落ち着け……! お前はこのゲームの制作者だろう? 危害は加えない……俺の質問に答えろ……」
とっさに持ってきたスマホを開く。
男子生徒に見せたのは、もちろん『ふくしゅう鬼ごっこ』のゲーム画面だ。
「ひぃ……助けてぇ」
「怯えるな……俺の質問に答えろ!」
紅緒の瞳がぐるぐると動き、赤と金色に輝く。
男子の顔が催眠にかかったように、目が虚ろになって恐怖心は消えたようだ。
「あ……はい……僕が……作りました……」
「金髪の氷の男に、会ったことはあるか……?」
飛竜蒼玉のことだろう。
「あっ……あっ……会った……でも、でも僕は……逃げた」
「逃げたのか」
「僕はこのゲームを……ちょっと広めたいだけだったから……別に……誰かを制裁したいなんて思ってない……願いは叶った……このセンセーショナルな楽しいゲームを広めたかっただけなんです……だからちょっと学園で生徒達が繋がっているSNSに捨て垢で宣伝を貼ったりはしちゃったんです!! ごめんなさいいいいい!!!」
「ゲームをまず広めたのはお前か。一応聞くが、行方不明者を監禁なんてしていないよな」
「か、監禁!? ま、まさか! そんなことしませんんんん!」
桃花が見渡すかぎり、住宅街の一軒家のようだ。
ベッドにローテーブル、勉強机にはパソコンとモニターが何台も置いてある。
本棚にはプログラミングの参考書や、パソコン関係だとわかる本がズラッと並んでいた。
桃花は男子の部屋に入ったことはないが、パソコン好きの一般的な部屋に見える。
家の中は静まり返っていて、一階に犬がいるようだが、人間の気配はしない。
桃花にも、なぜわかるのか不思議だったが、行方不明者は此処にはいない事はすぐわかった。