【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~



「ふふふ……飛鳥紅緒君……そんな簡単に解決させると思うのかい?」



「飛竜蒼玉……!」

 公園の街頭の上に降り立ったのは氷の美少年、蒼玉だ。

 周りの木々が真っ白にパキパキと凍っていく。
 桃花はゾッとした。

「あ、王子様……!!」

 しかし彩子は、嬉しそうに彼を見上げる。

「彩子、まんまと罠にハマって逆におびき出されたね……思ったより無能で残念だよ」

「蒼玉! お前がこの娘に妖魔を与え、アプリゲームではなく、広告から被害者達をおびき寄せる方法を考えたんだな!?」

「ゲームなんかに寄生させたら、すぐバレちゃうからね……紅刃斬対策で君たち五人には反応しない仕掛けもしてあげたんだよ……謎解き面白かったでしょ?」

「ちょこまかと、うっとおしいぜ」

 蒼玉の氷を溶かすように、紅緒の怒りの炎が舞う。

「ふふふ。彼女の罪だ、罰するならどうぞ死刑にでも」

「お、王子様!? そんな、私を見捨てるの!?」

「見捨てる……? 最初から期待もなにもしてないけどね」

 冷ややかな目で、蒼玉は彩子を見下す。

「王子様ぁ!?」
 
「待て!」

「僕はもう行くよ……じゃあこれは置き土産ってやつ。彩子にも最後の御褒美あげようね」

 夜の闇から無数に蒼玉が集めた妖魔が、牙をむき出しに襲いかかってくるのが見えた。
< 163 / 181 >

この作品をシェア

pagetop