【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~

「そんな……そんなの駄目……!!」

 桃花は守られていた紅緒の背後を抜けて、倒れ苦しむ彩子のもとへ行き座り込んだ。

「桃花!」

「絶対に助けなきゃ……!!」

 燃え上がる炎も、桃花には熱くない。
 苦しんでいる彩子を、抱き上げる。
 確かに顔も身体も、もう人間らしさがなくなっている。

「それでも……!! この子を助けて不死鳥ーーーー!!」

 炎が更に舞い上がり、暗闇の空から流星のような光が桃花と抱き上げた彩子の元へ落ちた。

「異空間内に侵入しただと!? 桃花!!」

 激しい衝撃波だった。

 内部から輝く光と衝撃に煽られ、茜の結界も吹き飛び紅緒の別界術(べっかいじゅつ)展開(てんかい)も空間がネジ曲がりふっ飛ばされた。

「桃花ーーーーーーーーーーー!!」

 弾け飛ぶ瞬間に、紅緒が桃花と彩子を抱きとめて、ジャングルジムにぶち当たった。

「「「「総長ーーーーーーーーーー!!」」」」

 四天王の声が響く。
 公園の外では車が走り、マンションの灯の中には、日常の家族の団らんがある現実世界。

「はぁ……大丈夫だ……」

 頭から血が滴り落ちても、紅緒は腕の中で眠るように気を失っている桃花と、人間の姿に戻った彩子を見て安堵の息を吐いた。

 その様子をビルの上空から見ていた蒼玉。
 後ろには四人の影。

「……ふふ、今日はもういいよ。十分にわかった……想像以上だよ。彼女の力。……また来るよ桃花ちゃん……」

 そう言うと雪が舞って、五人の姿は消えた。
 
 
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