【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
……でも……いま……。
「べに……おくん……」
ふと、目を覚ました。
薄暗いなか、天井が見える。
ボーッとした頭。
腕に点滴が、繋がっているのがわかる。
ベッドの脇に、紅緒がパイプ椅子に座っているのがわかった。
「……ん……桃花」
「紅緒くん……」
「大丈夫か?」
紅緒の額には、包帯が巻かれていた。
桃花はふっ飛ばされた時に、紅緒が抱きとめてくれた事を思い出す。
「……守りきれなくて悪かった」
悲痛な紅緒の顔。
その顔は。桃花をどれだけ大切に想っているかを表していた。
桃花の心が、ズキンとする。
「そんなことない! 紅緒くんが助けてくれたんだよ! だから私は元気なんだもの! 私のほうこそ怪我させて……ごめんなさい」
桃花は涙が出そうになりながら、起き上がって紅緒の頬に左手で触れた。
二人の瞳が見つめ合う。