【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
茜ちゃんから餞別にもらったお守りを握りしめた。
村にあった、お社のお守り。
紅い鳥の刺繍がしてある。
このお社は小さい頃によく行ってたと思うし朱雀の家は関係深いと思っていた。
お父さんのお母さん。
祖母がそのお社にいつもいた記憶がある。
でも、ある夏の後……朱雀家は神社には近寄らなくなってしまったのだ。
お祖母ちゃんが亡くなって葬儀をした。
お祖母ちゃんがいなくなって寂しいし、どうしてお社に行かないのか一度聞いた時にお母さんの悲しげな顔を見て聞くのをやめた。
「……お母さんお父さん、茜ちゃん……頑張るね」
英語の先生が入ってきて、一時限目が始まった。
先生が黒板に何か書きながら、文法の説明を始める。
桃花は話を聞きながらも、また朝の化け物犬を思い出す。
ノートに化け物犬の絵を描いた。
「(もっと小さな頃にも似たようなものを見た気がする……?)」
すごく恐ろしい思いをした事があったような……。
「(でも、まさかね)」
不思議な感覚だった。
また、肩が熱くなるような感触。
「すーすー……ん」
隣の飛鳥が、寝息が少し大きくなったと思ったがピクリと指が動いた。
「何か来たな……別界術……展開!!」
飛鳥がバッと起きて、何か叫んだ。
「えっ!?」
飛鳥が寝ぼけて叫んだのかと、桃花は思った。
しかし次の瞬間。
バリン! とガラスが割れるような音がしたかと思うと、世界の色が反転した。
「校庭に……数匹か」
「(え!? 目がおかしい……!? やだ、なに!?)」
「総長飛鳥ーー!」
ガラッと教室のドアが、叫び声と共に開けられた。
短髪で学ランの男子。
学ランの前を開けて鮮やかな紅いTシャツが見える。
授業中なのに、教室に乗り込んできた!?