【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「うるせーよ珊瑚。敵は何体いる?」
「ざっと30体。女子なら俺が抱っこしててあげよっか~? ありゃあ、随分と地味な子だなぁ」
「必要ない。桃花、この木の下で待ってろ……いいな」
「う、うん」
学ランを羽織らされた桃花は、イチョウの木の下で降ろされた。
空は渦巻いて、不気味な紫色だ。
風も生臭く、ゾクゾクと寒気がする。
「これから……何が始まるの……?」
「戦いだよ。俺達は人間を守るあやかしのチームなんだ」
「戦い……あやかし……?」
わけがわからない! そんな顔をしていると、眼鏡の男子が叫んだ。
「おい! いい加減にしないか! 今、俺達の先攻で一時撤退しているだけですぐ来るぞ!」
「わかってる!」
長ランの下は、紅いワイシャツを着ていた飛鳥紅緒。
腰にはいつの間にか、刀を携えている。
それは柘榴と珊瑚と辰砂と苺も同じだ。
それぞれスラリと刀を構える。
彼らの先には……。
「うそ……あんなに沢山……」