【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~

「やぁごきげんよう。まさか女の子の新入りかい?」

「え……?」

 声がしたのは遠い場所。
 振り向くと一人の男子。

 氷のような冷たさ。
 白い肌に、金髪に蒼色のメッシュが入った長い髪が揺れている。
 白色のブレザーを、着ている。

 怖いほどに、美しい少年だ。
 
「あれ、君は……」

 目が合って、恐ろしさで桃花は固まってしまう。

「もしかして……何か強大な加護を受けているのかな……?」

 桃花の前には紅緒、他の四人も刀を抜いて立ちはだかっている。
 なのに冷たい美少年は、綺麗な指先を桃花に伸ばしてくる。
 遠い距離なのに、指先が触れるような冷たさを感じゾッとした。
 
「桃花に触るんじゃねぇ」

 冷気が触れた桃花の頬が、遮るように温かくなった。
 
「紅緒くん……」

「へぇ? なに、この子は紅緒君にとっての特別かい?」

「お前に何か答える義理はねぇ! わざわざ学園の敷地内にまで入ってくるとは……どういう要件だ? 飛竜蒼玉(ひりゅう そうぎょく)……」

「ふふ……何かおかしなものが紛れ込んだ気配を感じたから……見に来たんだよ。いいねぇ。僕も気に入ったよ、彼女が」

「えっ……」

 飛鳥は桃花を自分の背で守るようにして刀を構える。

「敵の陣地でいい根性してるぜ。ならば今日こそお前を討ち『蒼騎審(そうきしん)』を壊滅させてやるよ」

「ふふ……まぁ今日は挨拶に来ただけだから。桃花ちゃん。今度は可愛い顔もっとよく見せてよね」

「逃がすか!!」

 飛竜蒼玉と呼ばれた少年は、ふふっとまた笑うと一瞬で身が凍りつく。

「あっ!?」

 そしてクリスタルのような氷が砕け散った。
 鋭い刃のように飛んでくる。
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