【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「ま、今にわかるさ。じゃあ昼休みにテラスに集まろう。もう結界も限界だ」
「了解、総長飛鳥!」
「はいよぉ~昼が楽しみだね」
「では俺が席の予約をしておきます」
「お姉ちゃん、じゃあお昼にね」
「は、はい」
紅緒に言われて、みんなそれぞれの教室に戻っていく。
驚いたのが、校庭からジャンプして自分の教室へ窓から戻ったのだ。
苺は小学部だが、颯爽と走り去った。
「よし、俺達も行くか」
「えっ」
軽々とまたお姫様抱っこされる。
「きゃ」
「飛ぶぞ」
「きゃー!」
当然のように紅緒も飛んだ。
そして三階の教室へ戻る。
心臓がバクバクだ。
何が起きたのか整理できない。
「あ、あの……」
「うん、まぁ席に座れよ」
「あ、はい……」
桃花はふらふらと自分の席に座る。
紅緒は机の中から焼きそばパンを出して食べ始め、水を飲む。
「ほら、やるよ」
一本、水を分けてもらった。
喉がカラカラになっている。
「パンも食うか?」
「ううん、ありがとう」
なんだか、すごく優しいんだな。と桃花は思う。
「じゃあ、元に戻るから授業受けてればいいさ」
「は、はい……あの、この世界って……?」
「この世とあの世の中間地点みたいな異次元空間だよ。そこに襲撃してくる化け物なんかを転移させて退治するんだ」
「えっ……あなたが?」
「そう。普通の人間にはわからない、影の戦いさ。朝の妖魔は一匹だったから、そのまま退治したけどな」
「うん……(私は普通じゃないってこと……??)」
「だけど俺達が負ければ力の均衡は崩れる。奴らの好きにされちまう」
「えっ……そんな」
「だから負けるわけにはいかないのさ。俺達は防波堤。平和のために戦ってるんだ。もぐもぐ……じゃあ、食ったから戻すぞ」
紅緒は机に突っ伏して、右手でチョキンと何か切る動作をした。
「あっ……」
まだまだ聞きたい事はあったけど、世界が戻る瞬間がわかった。
「みなさ~~ん。はい、つまりここでは……」
英語の先生が、さっき止まった授業の続きを話している。
時計が動き出して、日常。
誰も何が起きたかなんて知らない。
「(……私、かなりとんでもない事に巻き込まれている?)」
それでも、隣でぐーぐー眠る紅緒が言った『俺がついてる』という言葉を思い出すと不思議に不安に思う気持ちが消えていった。