【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「桃花ちゃん、そんな顔してないでさ。ここの学園の飯は結構うまいよーー」
金髪チャラ男っぽい珊瑚が、桃花に気を遣ってくれる。
この巨大で豪華な学園の校内には、生徒が使えるエレベーターも完備されているようだ。
「ありがとう……あ、でも私、お金が……」
エレベーターが最上階を目指した時に、桃花は財布を持ってきていない事に気付く。
「寮の生徒はタダだ。そんな説明も受けていないのか」
辰砂がメガネを直しながら、呆れたように言う。
「は、はい……すみません……学校でしっかり説明を受けられると聞いてたので……」
なのに、ほとんど説明されないままだ。
「謝ることはない桃花。知らないもんはわかんねーよな。知ってる俺達が教えてやればいい。辰砂、お前は説明もウンチクも得意だろ。冷たい事を言うなよ」
「なっ……俺が冷たいような言い方をしないでくれ総長! た、ただの確認だ」
心外だという顔をする辰砂。
「辰砂君は女子が苦手なんだよねぇ~。俺が優しく教えてあげるから安心しな」
珊瑚にウインクされる。
「珊瑚! お前は婦女子に慣れなれしすぎるんだ。君、気を悪くしたならすまない。なんでも聞いてくれたまえ」
「い、いえ。全然です! ……皆さん、ありがとうございます」
「なんでも、みなに聞け」
辰砂と珊瑚を見ながら、紅緒にも優しく言われた。
「なんだよ~総長もみんなも地味子に随分、入れ込むんだな?? まぁ俺も鬼畜じゃないし、仲良くしてやるよ。柘榴様に任せておけ!」
「は、はい……どうも……」
わちゃわちゃして歩いた先に、まるでホテルのような食堂についた。